妻が夕食どきに 「今夜から明日の朝あたりにかけて、また地震があるわよ」 と珍しく予言めいたことを言い、そういう能力は皆無だと思っているので 「朝ドラの研ナオコみたいなことを言うね。アベック台風も来てて地震と台風の関係を指摘する説もあるしね」 …
【『季刊清水』2025 通巻58号発売中】 戸田書店発行、雑誌『季刊清水』58号が戸田書店江尻台店店頭に並びました。 ◉目次 巻頭詩 【特集1】 袖師・横砂で立ち止まる 袖師・横砂地区の思い出の景観と現在……川口宗敏横砂に居住して……宮崎久雄袖師村ができるま…
台風7号と台風8号がそろって日本列島に近づいてきていて昔はこういう気象現象をアベック台風と言っていた。最近はアベックというカタカナ日本語は聞かれなくなり、『ニッケアベック歌合戦』などという番組を覚えている人もどんどん減っているのだろう。ト…
五感の中でも眼の視覚的記憶への依存度は高いだろう。けれど記憶の精細度においては耳による聴覚的記憶に敵わないのではないか。 視覚的記憶を投影できる画像プロジェクターがあったとしても、聴覚的記憶を再生できる音響システムがあったら、そのリアリティ…
三人の親の看介護を通じて我が家に早寝早起きの習慣がが定着した。最後の一人の看取りを終えたのが2018年なので、ほぼ15年で日常生活に合一した。 おかげで睡眠時間は充分取れているはずなのに、このところ日中眠くてたまらない時間帯があって、心身が内乱状…
マイナンバーカードの有効期限が切れるので誕生日前に更新しろという通知が来た。カードの表示を読むと有効期限は 2031 年で、期限が切れるのは5年先になっている。 おかしいなと思ったので相談窓口に電話したら、マイナンバーカードの有効期限は2種類あっ…
自分に不都合な考えから逃げることを現実回避という。嫌なことは「考えなければいい」わけで、幼い子どもにできるその最後の手段は眠ってしまうことなので眠くなくても眠る努力をしたものだ。 どうしても眠れないときは「空想をしよう」と思い、目を閉じて物…
昔の人が書いた本を読んでいると「改正道路」という言葉がよく出てきて、道路計画によって新たに整備された道のことを言うらしい。郷里静岡でも世界大恐慌頃の失業者対策のため事業化されて整備された道を改正道路と呼んでいた気がする。 たとえば佐田稲子の…
清水のさつき通り中央分離帯に設置されている堤直美氏の作品「浜風」がもう一体鋳造されて清水区江尻東の末廣鮨店頭にあるというので「触りに」行ってきた。高齢になられてもお元気な末廣鮨ご主人にお会いし、店内にも沢山ある堤氏の作品を拝見し、買ってい…
昨日の日記の続きだけれど、小学生時代の6年間、夏休みは必ず清水の親戚に預けられて過ごした。 夏の朝は早い。 「家でゴロゴロしていないでラジオ体操に行ってこい」 と伯父に言われて渋々会場に通った。ちゃんとサボらず通った証拠として、ラジオ体操終了…
鏡を見たらいっとき凹んでいた腹がまた出てきたので朝のラジオ体操を復活した。とりあえず第一体操だけにして、習慣が定着したら首の運動を挟んで第二までやると決めた。 やると決めたら自分に対する「推し活」が欲しいので、あるんじゃないかと探したらラジ…
必要があって三島由紀夫『天人五衰(てんにんごすい)ー豊饒の海・第四巻』を買って読んだ。同書については清水市立第二中学時代の恩師でわが夫婦の仲人でもある岡部芳雄先生が、郷里清水が登場する文学作品をまとめた本を出版されているので存在だけは知っ…
子どもの頃から軽度の難聴があると言われ、お医者さんに「耳の奥の穴が狭いから少しずつ治していこうね」と言われたけれど、治療方法を想像すると恐ろしいので通うのをやめ、それ以上穴が狭まることもなかったのか難聴のままで人生を生きた。 意外なことに、…
皀角坂と書いて「さいかちざか」と読む。水道橋からお茶の水まで神田川の南川を東に登る坂で明治時代初め頃の地図に坂名が記されているけれどやっと読めた。『新編江戸志』に「むかし皀角樹多くある故に、坂の名となす」とあるらしい。 2026年6月15日 文明開…
電機メーカーでアルバイト、じゃなかった、電機メーカーに勤めながら本のデザインのアルバイトばかりしていた 20 代があった。その頃の OB は皆よい人たちで、OB 会があるたびに有り難いお誘いがかかる。水道橋近くの中華料理店に集まって談論風発、飲んで食…
地下鉄南北線と大江戸線を乗り継いで江東区深川江戸資料館に行ってきた。駅名に馴染みがあったので地図を見たら、かなり前に、東京都現代美術館を訪ねたときに一度降りたことがある。 2階小劇場で開かれる金子みすゞイベントの開場時刻が1時半なので、近所…
シュロは漢字で棕櫚と書く。見るからに南方のヤシ風なので和でなく洋であり、町の開業医のハイカラな玄関先によく似合う。 郷里清水は温暖なので巨大に育ったシュロを町なかでよく見かける。ミカン山の一角に植えられているのを見かけることもあるけれど、鳥…
今年の夏至は6月21日だけれど、朝のニュースを見ていたらなぜかもう夏至という言葉が話されていた。 夏至は冬至に比べて約 4 時間 50 分も昼が長い。そしてその日をさかいに日が短くなるので 「またさみしくなるんだなぁ……」 と言ってため息をついたら妻が笑…
佐多稲子『私の東京地図』と太宰治『東京八景』を戦前戦後の地図を見ながら読んでみると、幼い息子を連れて清水を出て東京の町を転々としたわが両親の足跡と驚くほど重複している。 名を伏せて文章を書くことで幾ばくかの金を得、名を伏せた売文ゆえに逃げる…
2023年12月4日から書き始めた手書きの新書判サイズMDノート日記が4冊目を使い終えて5冊目に入った。二年半休まず毎日書き続けたことになり、パラパラとページをめくってみると、どうしてこんなに続いているのか自分でも不思議だ。 毎朝朝刊を読んで、毎朝…
郷里静岡県清水でロバのパン屋を取材したのは『季刊清水39号』(2006)だった。取材中に「東京パン」(「ろばパンの思い出」)という名前が出てきて、ロバのパン屋として清水で馬車をひかれていたご主人は東京中野にあったそのパン屋の創業者だった。 「中野…
子ども時代の思い出をたどると、今でも 「ああ、あいつ嫌なやつだったなあ」 と思う人間が幾人かいて、たいがいは 「まあ、子どもだったんだからどうでもいいや」 と許せるようになっているのだけれど、 それでも思い出すと胸糞が悪い幾人かについては、 ろ…
興津の図書館でとったメモには、 「切り立った崖下にわずかばかりの細い道が通じ、その左手に荒浪が打ちよせていた。海辺の岩々に波がくだけ、しぶきは崖下の道にとび、ここを通る旅人は、打ちよせる波にさらわれないように、親は子を、子は親をかまっていた…
佐多稲子に『年譜の行間』という著書(1983)があり、書名にひかれて古書を探したら、さまざまある安価の理由に「切り抜き貼り付けあり」というのがあったので注文した。 新聞に載った書評や紹介記事を読んで新刊書を買う人がいて、さらにその記事を見返しな…
わが母は昭和五年の十二月生まれで、まさにその年の暮れになって入水(じゅすい)事件を起こした太宰が釈放され留置所から出てくる。その後、五反田島津公分譲地を振り出しに、本所区東駒形、神田同朋町、神田和泉町、淀橋柏木と住まいを転々して行く。 破廉…
自分の身を自分で守ることを自助と言い、英語ではself‐help とか ones own efforts とか言い、自力で自分を救済する努力のことをそう言う。 子どもの頃、忍者は片足を水面にのせると、その足が沈む前にもう片方を前方に踏み出して水面にのせ、その足が沈む前…
学生時代に夏休みの一ヶ月だけバイトで通った銀座の雑居ビルがある。鰻の寝床のように細長いあの不思議なビルはどこにあったのだろうと現在の地図を開いたら黒川紀章設計のウインズ銀座があり、社長の兄だと言われていた専務が、場外馬券売り場で勤務中に馬…
歩道を歩いていると「トットットットッ……」と小走りに追い越して前に出る女性がいて、前に出たものの歩く速度が遅いので追いついてしまい、追い越すと、また「トットットットッ……」と追い越して前に出るということを繰り返す。意地悪する気がなくてもそうな…
むかしテレビを見ていると米粒に字を書く特殊技能を持った人を見かけた。今でもそんなことをやっている人がいるのだろうかと検索すると「いる」、大勢「いる」、「いる」ことを知らなかっただけだ。 「いる」だけでなく、米粒自体に興味の先端を集中し、3D…
道具を使うとき、道具を使う人の身体は道具の中まで延びている。 バールを凶器に使う人の身体はバールを含んでおり、人とバールを分けて罰することはできない。 バールを行使した者も、バールを購入した者も、バールを受け渡した者もバールの延長に含まれて…