2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧
2017年4月29日僕の寄り道――内と外1 かつて定点をさだめて行われる気象観測を定点観測と言ったが、いまは定点観測という言葉だけが広義に用いられている。 馬齢を重ねて生きのびたことの褒美なのか、立ち止まってじっとしていることが苦にならなくなった。意…
2017年4月28日僕の寄り道――こざっぱりと城下町 旧静岡市内での編集会議に出るため駿府城の周りを歩くと、派手ではなくこざっぱりとした住まい方をされているお宅を見かけて「いいなぁ」と思う。 城下町であるぶん背筋がしゃんと伸びているのではないかとも思…
2017年4月22日僕の寄り道――掃除の心得 母親は掃除好きな人だった。小学生時代の日曜日は朝ごはんが済むと「さぁ掃除を始めるよ」と言い、はたきかけ、ほうきはき、ぞうきんゆかふきなど、午前中いっぱいをかけて手伝いをさせられ、遊びに行きたくても行けな…
2017年4月22日僕の寄り道――1930年あたりの人びと 知らない人の本を読んで感心すると、あらためてその人の略歴をひいてみる。そうすることによってまた新たな人をみつけ、また本を読んで感心すると、あらためてその人の略歴をひいてみる。 そういうことをしな…
2017年4月20日僕の寄り道――ゆっくりの効用 特養ホームの昼食食事介助に向かう妻にくっついて、週末は金魚の糞になっている。 金魚の糞はお尻にくっついて行くくらいしか仕事がないので、ケアワーカーたちの介護風景を、ゆらゆら水中を漂う糞のようになって、…
2017年4月19日僕の寄り道――集合と風景の手ざわり トライポフォビアというカタカナ状の言葉があり、漢字にして固めると「集合体恐怖症」という俗名になる。恐怖症とつくものの俗名なので病気と認められているわけではない。だが人間には病気と認めてもらえな…
2017年4月18日僕の寄り道――最後部の眺め 大学を出て勤め人になったその年は、ひとつ年上の先輩と仕事帰りに連れ立って、毎晩のように都内の安居酒屋で飲んでいた。 渋谷駅近くの赤ちょうちんに入ったら、先輩が「見ろ、田中小実昌が飲んでるぞ」 と肘でつつ…
2017年4月17日僕の寄り道――カチューシャ(Катюша) 春になって老人ホーム庭のヒメリンゴのつぼみたちがほころんでいたが、今日(2017/04/16)は白い花が満開になっていた。何年か前には二本並んでいたうちの、奥側にあったヒメリンゴである。 その頃は手前側…
2017年4月16日僕の寄り道――回游社会 友人の息子が大学に進学して都会暮らしが始まった。親子で訪ねて来たので、総勢5名がタクシーに分乗し、浅草の牛鍋屋で祝杯をあげに出かけた。 道路の混雑を避けて回り道した谷中も、 2000 円ちょっとのタクシー代で到着…
2017年4月15日僕の寄り道――「かわいい」のしくみ 人間の赤ちゃんもパンダの赤ちゃんも、産まれた直後はあまりかわいくない。だがカマキリやクモは産まれた直後からかわいい。赤ちゃんのくせにちゃんとおとなの縮小版になっているからだ。 美少女を、手のひら…
2017年4月14日僕の寄り道――遠くの櫻 幼いころ預けられていた祖父母の家から見える山の稜線には、この季節になるとぽつんと一本の櫻が咲いた。 「あの山のいっちばんたけーところが見えるっつら。そこからずーっと右のほうに目をずらいて見てみょう。さくらが…
2017年4月1日僕の寄り道――東京タワー 新しくつくっている本の打ち合わせで霞が関まで出かけたら、地下鉄に乗ってやって来た著者が道に迷ったという。霞が関、虎ノ門界隈は次々に新しい巨大ビルが建って街の風景がひどく変わっている。 自分もまた前回の打ち…
2017年4月11日僕の寄り道――若葉のころ コケ植物の生命力は驚くべきものだ。通りを挟んだ向かいにあるバス停では、歩道に敷き詰められた敷石の隙間でかろうじてひとかたまりのコケたちが生息している。 晴天が続くと乾燥して茶色くなり、乾燥キクラゲのように…
2017年4月11日僕の寄り道――瓶と底 資源ごみとしてリサイクルにまわす、という捨てかたができなくて、溜まって仕方がないのに手元においておきたい瓶がある。 そういう瓶たちはたいがい細部に気配りの造形があり、ちいさなイボイボの出っ張りや意味ありげな溝…
2017年4月10日僕の寄り道――子馬と山羊と示現会 近所の散歩コース、駒込駅北口近くに示現会絵画研究所がある。正式には一般社団法人示現会(しげんかい)といい、昭和 22 年創立の美術家団体のひとつ。 この会についてまったく知識がないので、どんな歴史があ…
2017年4月10日僕の寄り道――花は順番に咲く 特養ホームで暮らす義母の居室から見える桜が満開になっていた。わずか一週間ぶりの訪問なのに窓外の景色が一変している。 小鳥たちの食糧支援になっていた柚子も干からびて残滓を枝先に見るだけとなった。花はまだ…
2017年4月5日僕の寄り道――入学式 交差点を渡った向こうにある郵便ポストまで手紙を投函しに行ったら、今日は小学校が入学式だった。正門前に立って写真を撮っていると、校門をくぐっていくひとも、幼児を乗せた自転車で通りかかったひとも、通勤途中でスーツ…
2017年4月5日僕の寄り道――仰げば尊し 桜というと小学校正門と唱歌『仰げば尊し』をセットで思い出す。卒業式で『仰げば尊し』を歌い、桜の花をアレンジした校章がついた正門をくぐって母校をあとにしたからだ。 友人のブログによると最近の卒業式では『仰げ…
2017年4月4日僕の寄り道――ラジエターと湯湯婆 食べて飲んで寝ると体内で熱が発生するので、人間の体は冷却放熱器、英語で言えばラジエターのような役目を果たしている。陰嚢を手にとって観察するととてもよくできている。 放熱が過剰になると体が冷えて寒い…
2017年4月4日僕の寄り道――ナンセンス 高校時代、晶文社から出ていた本に草森紳一『ナンセンスの練習』があり、小さな書店の本棚で何度も背文字を眺めながら、買おうか買うまいか手にとったり戻したりして悩んだ記憶がある。草森紳一はその後あれこれ読んだけ…
2017年4月1日僕の寄り道――石をかぞえる 雑誌編集会議で清水帰省があったので、早めに出発して三保に寄り道した(3/31)。駿河湾に面した外海側の海岸で、波の音を録音してみたかったからで、そういうことを不意に思いつき、そういうひとり遊びが何歳になって…
2017年3月31日僕の寄り道――かもめはかもめ 清水駅みなと口に出ようとしたら改札から自由通路を通り、延伸された歩行者デッキよって江尻漁港の岸壁まで、産業道路を跨いで降りられるようになっていた。 最初からそうすれば良かったものを、どういう理由があっ…
2017年3月31日僕の寄り道――三保の掩体壕 三保は本町より先に行くとからきし土地勘がなくなる。東西南北の方位はわかるけれど、公道、私道、農道についての知識がない。内海側の桟橋に水上バスがついて下船し、外海側の海岸目指して松林の中をひたすら東進し…
2017年3月31日僕の寄り道――江尻船溜まり時間つぶし 静岡県清水。江尻桟橋 9 時 10 分発三保桟橋行きの水上バスに乗りそこねたので、次の 10 時 10 分発を待つあいだ、江尻船溜まりを散歩した。この町に住んでいた子ども時代は珍しくもなんともなく、見慣れす…