2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧
【広い場所へ】 ある種の気づきによって人は自由で広い場所に出られるものです、と読んでいる本にあって「いいな」と思う。「広い場所に出られる」という表現が望んでいるものに合致し、こころがちょっと広い場所に出たのである。 自分の最大の弱点は閉所恐…
【鳥と実】 冬空を高速で横切っていく小鳥たちがいて、緑がかった色をしているけれどメジロとは違う。かならずケヤキの枝にとまるので双眼鏡で覗いていたら、わずかに残った葉っぱについた実を食べている。 スズメくらいの大きさで、緑がかって見えた体は黄…
【絶縁不良】 「遍(あまね)く〜である」という表現は「広く」とか「隅々まで」とかではなく「漏れなく」のように世界の果ての限界を曖昧にして使うと、とても便利な言葉だと思う。 わが家では、夢中で家庭内ピンポンをしているときは世界が遍(あまね)く…
【夜の底にて】 「夜の底には安らぎがあると思った。」(岩田慶治『カミの人類学』) 調査に入った少数民族の村で、あてがわれた寝場所で死の不安におびえながら、「夜」について考えたこの学者は詩人のようでもあった。詩人のようである自分の分身に救われ…
【一瞬の呼び声】 「はっと『世界』に気づく」という不思議な体験を一度だけしたことがある。 小学生のころはよく釣り好きのおじさんに連れられ、広大な武蔵野を流れる入間川水系の支流まで釣りに出かけた。夕暮れ近くになるとエサ釣りから毛鉤釣りの仕掛け…
【しめしめしめよ】 「空(くう)とは万物をあらしめている絶対無の開放空間のことである」と西田幾多郎ふうに言うときの「あらしめる」という言葉が妙におかしい。この場合はどうしても『あらしめる」と言わなくてはいけないと思う。 他人に何かをさせよう…
【写真の気持ち】 スマートフォンのイデアを低く見たいとき「スマホ」などとへんな略語で言い、もっと物神性を剥ぎ取りたいときは「ケイタイ」などと投げやりに言う。カメラを忘れて外出したときの写真がそんな「ケイタイ」の中に残っている。 カメラを忘れ…
【前生と後生】 「後生(ごしょう)」という言葉が本にあって、「後生だからお願い!」と使うときの後生が、どういう意味だかいまいちわからないので脱線して考えた。 「『死んでも命がありますように!』レベルの一世一代のお願いです!」という意味のよう…
【飲み屋の記憶】 おそらく、すくなくとも、たぶん、二十年以上も前に行ったきりで、とんとご無沙汰している居酒屋が池袋にある。いや、あったのだ。 最後に行った晩はご主人が皿を落として割って大騒ぎになり、「親父、このところひどくボケがすすんじゃっ…
【哲学的ワクチン接種】 新型コロナウイルスのワクチン 7 回目接種を申し込んだら、接種日前日にインフルエンザ感染していることがわかってキャンセルした。 回復後に再度申し込んだら、接種会場は近所の地区センターではなく、文京区役所の入ったシビックセ…
【各務原】 各務原という漢字三文字の地名があることは知っていたけれど読み方を知らず、存在生活でも認識生活でも縁がないので、各務原という地名が本に出てきても声に変換せずに読み飛ばしていた。 老人が書かれた中山道歩き旅の紀行文が岐阜県南部、中山…
【しらがのはごたえ】 このところ机に向かって何かをしながら小さな電動シェーバーをいじってばかりいる。たいしたヒゲも生えていないのに、指で触ると剃り残しがあってそれがひどく気になるからだ。 このところ床屋に行きたくなる間隔が狭まった気がする。…
【自損自己】 言葉で考えて自分で自分について何事か述べるとおかしなことになる。主語と述語の中にいる二人の「私」が相容れない。人称の失敗である。 言葉ではなく物理的に自分の身体を自分で害する事はできてしまい、カイジンは自害を「ハラキリ」などと…
【力士の娘】 小学校の同級生に元相撲取りの娘がいた。親たちの話によれば、お父さんは十両にあがって関取になることなく廃業して焼き鳥屋を開いたのだという。病気がちだったらしい。 校区からずいぶん離れた場所に店があり、少女が毎日通うには心細いほど…
【新春の植物】 雑誌の新春1月号に使う写真が 12 枚届いており。ネーム原稿は ・スイセン・マリーゴールド・アジサイ・アザミ・クローバー・タチツボスミレ・アセビ・マルバウツギ・イタドリ(スカンポ)・エノキ・コブシの実・ヒガンバナ になっている。 …
【食える食えない】 弘法大師空海を「食えない」と司馬遼太郎が書いているのを読んでおもしろいので(『空海の風景』)、あらためて「食えない」を辞書で引くと「煮ても焼いても食えない」という慣用表現から来ているようだ。 「人を食う」と言うとき、人が…
【畳職人の息子】 OA 機器販売会社の若い営業マンから電話があって、新たに担当になったのでご挨拶に伺いたいという。約束の時刻にやって来たので名刺交換し、前任者は若い女性だったねと言ったら、産休に入ったための交代で退職したわけではないですと言う…
カレー南蛮百連発055:文京区千石『そば処ひぃふぅみぃ』のチーズ入りカレー南蛮 ● 文京区千石三丁目に昭和九年創業の『そば処ひぃふぅみぃ』という店がある。かつてその界隈で暮らしていた友人がいるので「あのお蕎麦屋さん、どう?」と聞いたら「どう?っ…
【ポイント】 読んでいる後期高齢者四国遍路旅の記録に思いがけずアランの言葉が引かれていた。原本は串田孫一訳の版である。 「悲観は気分のものであり、楽観は意志のものである」( Alain ) 2023年12月13日 豊島区立駒込公園 もういちどあらためて司馬遼…
【氷の魂】 夢というのはけったいなものだ。どうしてあんな夢を見たんだろうと目が覚めて思う。 夢に「氷水」という字がドーンと出てきて、「氷」と「水」という文字は点のあるなしの差があるに過ぎないんだよなと思う。 「氷」の点は書き順の何番目に打つの…
【実相観入】 表面的な写生にとどまらないで、人も自然も渾然とした場において表現がなされていること、それを短歌では「実相観入(じっそうかんにゅう)」という(*)。「実相は無相である(ほんとうのことは、ことばにしがたい)という世界観まで観入(深…
【名前と形態】 文化人類学者のフィールドノートにある板根ってなんだろうと辞書を引いても項目がないのでネット検索したら「ばんこん」と読んで樹木の地表近くから生える根の一種らしい。「主根の脇に生えた側根の上部が板状に肥大して樹木の支持や通気に役…
【波型飛行】 窓際に置いた机に向かって本を読んでいて、ふと目を上げると、通りを挟んだ正面にある木立ちから弾丸のようになった鳥がこちらに向かって飛んでくる。弾丸は木立ちと窓の間の通り上でやや失速し、高度が下がる。 失速し、高度が下がると、畳ん…
【おったつ、ぼったつ、つったつ】 子どものころ、立っているものについて言うとき、「おったつ」や「ぼったつ」や「つったつ」などを器用に使い分けていた。そういう日本の子どもの実用的語学力は試験に出て評価されないだけで、たいしたものである。 「お…
【尻馬居士の話】 初めて読んだ佐々木邦がとてもおもしろい。 「それについては面白い話があるよ」 と社長が言い出すと、周囲のものは皆辟易(へきえき)する。しかし相槌(あいづち)を待ち設けて見廻しているから、誰か、「はゝあ」 と応じてやらなければ…
【朝のユーモア】 イニシエーション( initiation )の語源はラテン語の initio(はじめる)である。朝のはじまりの窓開け、植木の水やり、朝食の準備、「起きろ!」の声掛け、NHK 朝ドラを見ながらの食事、掃除機かけ、それらのイベントを順を追って終え、…
【中山道を読む】 仕事の打ち合わせ帰りに旧中山道蕨宿をチョロっと歩いたら、この古い街道を歩きながら何かを考えて書いた人の本が読みたくなった。本を読むことの最大の楽しみは、「この人はなんでこんなことを考えたんだろう」と、さらに自分が考えること…
【戸田公園駅のモニュメント】 戸田公園駅は 1985(昭和60)年 9 月 30 日、日本国有鉄道(国鉄)の埼京線赤羽駅・大宮駅間開通に合わせて開業された。近くにある戸田漕艇場(とだそうていじょう)の最寄り駅になる。 戸田漕艇場は 1964 年 10 月 11 日 から…
【チンダル現象とプラトン】 幼い頃、映画館に連れて行かれるとスクリーンを眺めているのが退屈で退屈で、椅子の上にそっくり返って、映写室から放たれる光束の動きを飽きることなく眺めていた。 空中で光が束になって見えるのを長いこと不思議に思っていた…
【悪口の効能】 他人の悪口を言葉に出して言った人は、言ったこと自体を忘れてしまうらしい。とくに女性に多い気がする。「あなた蔭であの人の悪口を言ってたよね。だったら付き合わなきゃいいのに」と言うと、「あら、わたしそんなこと言った覚えないわ」な…