2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧
【カントとカメラ】 写真は外界の事物をカメラがとらえるというのが基本的な形式になっている。基本的な形式が成り立つためにはまずカメラの外側に事物が存在しなければならない。そしてその存在を物理的な正確さでとらえて像を結ぶレンズが必要になる。存在…
【鬼の一撃】 長時間歩くとふくらはぎがつって痛い。ふくらはぎという言葉の語源は「ふくら」が膨らみ、「はぎ」が脛(すね)で、「膨らんだ脛」といったところだろう。 つっていない時の膨らんだ脛は「ふっくら」して温かいのだけれど、つっているときのふ…
【タテ組ヨコ組】 時間が直線上を動いていくものと表現するとき、ある点を『いま』とすれば、その左側に『過去』があり、その右側に『未来』がある……と、いま読んでいる本の著者が書いている。時間がそういうものだと言っているわけではなく、たとえればの話…
【回転落下】 数学が苦手だ。松本零士の漫画ミライザーバンで膝を抱えうずくまった主人公が、無窮の闇に回転しながら吸い込まれていく光景を数学は思い出させる。 同じ日付と曜日が組み合わさった再利用可能なカレンダーが登場する周期、それを求める計算方…
【夏のタイム・ログ】 2023年7月26日(水)のタイム・ログ 8:35駒込駅 8:32 発山手線外回り電車に乗車。 9:03ひかり505号、東京駅発車。相変わらず外国人観光客が多く指定席は満席。 9:19ひかり号、新横浜駅着。東海道新幹線の車内チャイムが TOKIOの「AMBIT…
【うずくまる】 来日した若き日のスティーブ・ジョブズが陶芸の「蹲(うずくまる)」を見てひどく気に入っていたという話を先日 NHK のテレビでちらっと見た。「蹲」は花入れに転用された小さな壺の形式で各地の古窯に伝わっている。たしかによいかたちをし…
【物寂しさ】 朝のベランダで植物に水やりしながら階下を見下ろすと、横断歩道を渡って小学生がにぎやかに登校していくのだけれど、いまは学校が夏休みに入ってしまったので朝の交差点は静かになって物寂しい。 『山と渓谷』(1929年・第一書房)の中で大正…
【言葉のダイナモ】 引用された長田弘(おさだ・ひろし)の詩を読んでいたら、前輪のリムダイナモを倒してタイヤに接触させ、重くなった自転車のペダルをこいだ夏の夜を思い出した。 頑張ってこいだだけ前照灯で照らされる田舎道は明るくなり、こぐのをやめ…
【山の断想】 山の紀行文が好きだ。人の解釈が加わった遠近法ではなく、等角投影図法によって説明的に描かれた風景が目に浮かぶからで、山歩きをする人たちは「地(じ)」としてそういう文章を書き、そういう文章の中に点景である「図(ず)」として私を描き…
【舞いあがれ】 毎日、NHK 朝の連続テレビドラマを見るのを習慣とする暮らしを始めて久しい。結婚して家庭をもってからだから、もう 42 年目に入っている。 そういう習慣が身についてしまうと、テレビドラマなので映像の記憶はもちろんだけれど、過去へ向か…
【小杉復堂の旅】 江戸時代の越中に生まれ、明治のはじめ頃、富山から山に入って、ぐるっと富士山、太平洋岸、江戸、日光、越後を経て富山へ戻る草鞋旅行をした人がいたという話を司馬遼太郎が書いていたような気がするのだけれど、確かめたくてもどの本だっ…
【吾妻ひでおの等角投影図】 吾妻ひでおの『失踪日記2 アル中病棟』には等角投影図法による俯瞰図が頻繁に登場する。 等角投影図は 120 度で交わる三つの補助線に沿って描くという決まりごとがあるので、遠近による寸法の変化がつかないかわりに、人物なら…
【片道 23 分の奇跡】 昼間の NHK BS に映画『阪急電車 片道 15 分の奇跡』という 2011 年の日本映画がかかっていたので録画して晩酌しながら観た。 兵庫県宝塚市と西宮市、阪急宝塚駅から西宮北口駅まで片道 15 分の短い区間を走る電車に乗り降りする人々を…
【文庫本のパンセ】 いまさら山登りをしたいとはぜんぜん思わないのだけれど、山歩きをする人が書いた山の本を読むのが好きだ。 大学時代の先輩に山好きがいて、勤めた会社でも先輩後輩だったけれど、山行きも自由にならない会社通いの行き帰りに、よくポケ…
【寸止めと共感】 感情を共にすることを「共感する」という。とうぜん「感情を共にする」相手は人間なのだけれど、人間ではない「物」に共感することもあって、そういう状態を「愛着する」などという。 愛着する「物」が人間のつくった物なら、人はその作り…
【水をまわす】 エアコンが室内を除湿して出た水を室外に排出している。ドレンからポツンポツンとしたたりおちる水は、いわば蒸留水である。 試しに大きめの園芸用ジョロにうけてみたら朝にはいっぱいになって溢れている。ものすごい量の湿気を水に戻して排…
【一寸の夏】 「六義園から飛来してベランダの片隅で発芽したイロハモミジを鉢に植え替えて育てている。樹高 20 センチほどに育って元気にしていたけれど、昨日水やりしながら見たら先端近くの若葉がきれいになくなっている。」(【消えた若葉】) ベランダ…
【路上の観念】 猛暑の路上からたまりかねて逃げ込んだ上戸田地域交流センター『あいパル』内で荒川河川敷の調節池「彩湖」で撮影された動植物写真の展示を見た。 2023/07/10 上戸田地域交流センター『あいパル』 2 匹のヘビが絡み合ってケンカをしているよ…
【赤羽一丁目ナウ】 北区赤羽一丁目の真ん中に北区立赤羽小学校がある。赤羽小学校は周りをぐるっと飲食店で囲まれている。飲食店に囲まれているので周囲は視覚的にも、ひどくやかましい街になっている。 自分が北区立王子小学校に通っていた半世紀以上前か…
【オリンピック通り】 埼京線戸田公園駅駅前。向こうに「オリンピック通り」の標識が見える。1964(昭和 39 )年に開催された東京オリンピックで、ここは漕艇競技の会場だった。漕艇競技場までの交通のために整備された道路なのでオリンピック通りという。 …
【彩湖のいきものたち】 午後から仕事の打ち合わせで埼玉県戸田市へ。13 時過ぎの埼京線戸田公園駅前に出たら熱したオーブンの中に入ったような猛暑でびっくりした。 ふらふらになって歩いていたら上戸田地域交流センター あいパル 内のエアコンが効いたスペ…
【地震自身】 未明に自身があって目が覚めた……デカルト的な誤変換でおもしろい。 未明に地震があり、発生時刻は 午前 4 時 52 分、震源は千葉県北東部、最大震度 2 マグニチュードは 4.4 、震源の深さは 70 km だった。 目が覚めたのでドアの隙間から朝刊を…
【うましおとごましお】 コンビニで買物をしてレシートをもらったらお菓子の無料引換券が一緒に出てきて、後日あらためて引き換えてもいいし、いますぐ交換してもいいという。 めんどくさいので「今もらいます」と言ったらオー・ザックあっさりしお味か、ね…
【ある日渚に】 本を読んでいたら自己愛にはフランス語の amour de soi が括弧付きで書き添えられている。人生の支えは自己愛というより自己満足でしょうと思い、自己満足をフランス人はなんて言うのかな?と自問して調べた。 satisfait de soi でいいんだろ…
【島崎のびんぼうえびす】 静岡県静岡市清水区島崎町にある西之宮恵比寿神社。相生町や島崎町や旭町の人たちはこの恵比寿神社をびんぼうえびすと呼んでおり、毎年祭礼が近づくと氏子代表が奉納金を集めに回った。 旭町飲食店街と旧清水市役所の裏通りにあた…
【波止場の昼下がり】 2023 年 7 月 5 日、作家の村松友視さんに清水区港町の『サンライス』でお会いする約束があり、ちょっと時間があるので清水マリンパーク内を散歩した。 J−オイルミルズ埠頭の向こうに大きな穀物輸送船が停泊している。岸壁にはベンチ…
【二交代制労働】 最近、働いている夢を見て、精神的にくたくたになって目が覚める。作業内容が現実のようによくできていて、夢とはいえ毎晩寝ているあいだもこつこつまじめに仕事している。 今朝も見知らぬ出版社に行って若い編集者の素人くさい誌面の校正…
【年齢と距離】 学生時代の 4 年間は北区西ヶ原に住んでいて、思えば文京区大塚にあった大学にとても近い。歩いて通学できる距離なのに、どうして山手線と地下鉄丸ノ内線を乗り継いで、わざわざお金をかけて電車通学していたのかが不思議だ。 地図上で計測し…
【 10 月のチケット】 娘さんが2度目の新型コロナウィルス感染をし、出社を控えて自宅待機になった友人がいる。感染する人は何度も感染するのだなと驚いた。ことし1月の第8波を超える感染拡大率だという話も聞こえてくる。 わが家は夫婦そろって6回目の…
【完璧な正方形】 アリストテレスが幸福な人についてこんな事を言っている。 その人は、「真に善き人」、あるいは「完璧な正方形」のような人なのである。(『ニコマコス倫理学(上)』渡辺邦夫・立花幸司訳、光文社古典新訳文庫、2015年) 幸福な人が「完璧…