2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧
【 H の火葬場】 木山捷平(きやましょうへい:1904―1968)に、自宅を出てタクシーを拾い「 H の火葬場」までと運転手に告げて飲みに出る話がある。 「年寄りは火葬場の前の茶店で一杯やると、奇妙に気持ちがおちつくのである。あまり人には言いたくないが、…
【へちま】 清水の中学の一年先輩で珈琲焙煎店をやっている友人が育てたへちまを毎年もらうので愛用している。木山捷平(きやましょうへい:1904―1968)の小説を読んでいたらこんなやりとりが書かれていた。 主人公は焚き火が好きで、廃材を燃やした灰の中か…
【カラスの速報】 未明に目が覚めて、微かに揺れているような気がするので地震かなと思う。耳を澄ますと外でカラスたちが「地震だ」「地震だ」と鳴き交わしているので、やはり地震だろうと思う。 確かめようとネット検索したら、28 日午前 4 時 10 分頃、福…
【「素(す)」の効果】 すべての存在は「地(じ)と図(ず)」が表裏になることで存在している。背景がなければ前景は存在できないし、前景があるということは必ず背景がある。 接頭辞「素(す)」に促音「っ」を添えたもので始まる言葉たち。すっからかん…
【大葉子】 子どものころ茎を使った草相撲をして遊んだので、オオバコは野の草花の中でもとくになじみ深いのだけれど、大葉子という漢字表記を初めて見たので読むことができなかった。「えっ!」と思う。 葉っぱが大きいからとこじつけて漢字をうまく当てた…
【伸子を捨てる】 中野重治(1902 - 1979)の『空想家とシナリオ』を読んでいたら Vollmacht というドイツ語が出てきた。 kindle の電子辞書なのでハイライトさせて独語辞書を無料ダウンロードしたけれど「独語―独語」なのでぜんぜんわからない。「独語―日本…
【自転公転】 モンテーニュに「自分自身の奴隷」という言葉があって、自分で自分の型にはまること、自分で自分に囚われることをそう言っている。「自分自身の奴隷」とは「自分で自分を自転すること」と変な言い方で言える。だいじなことほど変にしか言えない…
【影のように】 近所のマンションの外壁塗装工事が終わり、白く塗られた壁を見たら、隣り合うビルとの間の、人が横向きでやっと入れるくらいの隙間に面した壁面もちゃんと白く塗られている。 十二月の舗道を歩く人びとの影は長い。この影のように人が薄く長…
【早起き鳥】 保育園児だった頃は静岡県清水にあった祖父母の家に預られて暮らした。祖父母のに並べて布団を敷いてもらい隠居所である二階で寝ていた。 祖父は枕元のトランジスタラジオをつけっぱなしにして眠る人で、毎朝五時に放送開始になる NHK ラジオか…
【天気予報】 NHK の全国ニュースが各地のローカル局からの放送に切り替わり、全国の天気が関東地方の天気に切り替わるたびに、地図の左端に見えているのだから静岡市の予報も入れてくれればいいのにと思う。ところが最近、栃木県大田原市とか長野県飯田市と…
【この窓】 小学校を卒業して生まれ故郷清水に戻るまで、少なくとも 18 往復、おそらく東京―清水間を 25 往復くらいはしたと思う。新幹線に乗ったことなどなく東海道本線の鈍行列車に乗って清水の親戚に預けられ、母親が迎えに来て東京に戻るということを繰…
【二人称他者】 人ではなく「物」に対して二人称の「きみ」「あなた」「おまえ」などと呼びかけながらする仕事が好きだ。幼い頃、そうやってひとり黙々と物と向き合って作業をする大人たちを身近に見て育ったからだろう。物づくりもそうだし、料理好きな人は…
【深淵】 出口裕弘(でぐち ゆうこう:1928 - 2015)という人が書いたものを初めて読んだ。作家、翻訳家、フランス文学者、一橋大学教授だったとある。 私たちは、「いま」という最前線を、光速で走っている。把握不能な「いま」を、光速で突っ走るこの私た…
【焼酎のさきわり】 鉄道旅の番組でみた鹿児島の居酒屋では、焼酎をあらかじめ水で割って置いたものを温めて客に供しており、そういう飲み方を「さきわり(先割り・前割り)」と言っていた。好みの濃度になるよう軟水と混ぜた焼酎を寝かせておき、好みの温度…
【エクスタシーと入眠】 エクスタシーとは脱魂(だっこん)のことであり、脱魂を辞書で引くと「エクスタシー」だとそっけなく書いてある。「魂(たましい)」とは身体に宿って心の働きをつかさどるものなので、つかさどる「魂」が脱けて心の働きが失われてし…
【階段の上り下り】 サルトリイヌイと干支の名を順に挙げながら調べたら 1905 年生まれのサルトルは巳年だった。 幼い頃、階段の裏側もまた階段になっているということがとても面白く思われた。どう面白いかが上手く言えなかった日の幼心をいま素直な言葉に…
【軒灯屋】 林芙美子に軒灯屋(けんとうや)という言葉が出てきた。古い商家の軒先にある看板行燈を軒行燈(のきあんどん)または軒灯行灯(けんとうあんどん) とも言い、 「夕方になると軒灯屋が梯子を持って街を走っていた」(林芙美子「耳輪のついた馬」…
【小さな紅葉】 写真は今朝の自宅ベランダ。 この夏の猛暑で枯れてしまったフチベニベンケイ(通称金のなる木)の脇に何か生えてきたので抜かずに水やりしていたらトウカエデになって、いっちょまえに紅葉し始めた。 2024/12/14 *** *** NEW20 音オル…
【夢と内言語】 郷里静岡県清水では「かけっこ」のことを「かけっくら」と言った。「かける」ことを「とぶ」とも言うので、「かけっこ」のことを「とびっくら」とも言った…………という文章を考えている夢を見た。たいがいのことは夢に見るけれど、日記の文章を…
【富士見坂】 大学生だった4年間は北区西ヶ原に住んでいて、駒込駅から山手線内回りで池袋に出て地下鉄丸の内線に乗り換え、茗荷谷駅で下車して大塚キャンパスに通っていた。 交通ゼネストで電車が止まると本郷通りを歩き、駒込橋を渡って山手線内に入り、…
【流れる雲を追いかけて】 青空文庫で木山捷平(きやま・しょうへい)が読めるらしいと喜んだら、ボランティアの方たちが作業中の作品リストを見てそう思ったのだった。学生時代、互いに太宰治好きで気の合った妻は、木山のことを知っていて読んだことがある…
【掉尾の掉】 「掉尾を飾る」の掉尾が読めないので辞書をひいたら「ちょうび」と読み、「とうび」は慣用読みで、「たくび」は誤読であると書かれている。いよいよお終いというところでちょっと勢いを増すことを「掉尾を飾る」などといい、掉尾の意味は「シッ…
【読める書けない】 書けない文字が増えている。今日の手書き日記でも「はさむ」「しおり」「くせ」「かしょ」「いぞん」など自信がなくて辞書を引いた。 大体の記憶でえいやっと書くと存在しない妙な漢字を書いてしまう。へんとつくりの結びつきが切れてど…
【もういちど点接触】 2024 年 12 月 7 日の日記に、「面接触に比べて点接触は痛いのである」と書いた。 点や線で床面と接する椅子の脚は木の床を痛めやすい。点は位置だけあって面積を持たない。線は長さだけあって太さを持たない。 脚の先が球形だったり、…
【点接触】 家庭内ミニピンポンを始めてからわかったのだけれど、妻が強烈に打ち込んできたピンポン玉が腹や太腿を直撃しても、ペチンと間抜けな音をたて、真下にポトンと落下して全然痛みを感じない。 ところが頭や額や、手足の関節で骨ばった箇所に当たる…
カレー南蛮百連発061:静岡市葵区横田町・銀杏亭のカレーラーメン ● 今年も季刊清水の編集会議で毎月清水帰省することができた。新幹線で静岡駅に着き、新静岡駅まで歩いて新清水行きの静鉄電車に乗り、音羽町駅を過ぎるとき車窓から銀杏亭という暖簾をはた…
【11/21 の読みながらメモ】 001図形や旋律のように、感覚によってもたらされる要素がまとまることで意味をもつもの、それをゲシュタルト (Gestalt)という。 002要素とはなにか。視覚による感覚を画素、聴覚による感覚を音素などという。 003「心」は要素の…
【卵の殻剥き】 ゆで卵を剥くのが下手でおそらく人並み以下だろう。 どうしたらうまく剥けるか聞くと、人それぞれがさまざまなコツを語るので面白い。みんな苦労しているのだ。 剥きやすくするために小さな穴を開ける道具も買ってみたけれどうまく行ったと思…
【ノンシャラン読書メモ4】 00以下久生十蘭(ひさお・じゅうらん)『ノンシャラン道中記』を読みながら書いたメモ。 *** 15フランス語で尿はurine(ウリーヌ)で尿瓶をユリナーという。尿介護をウリナー・ケアというのと語源は同じなのではないか。「し…
【風の子】 郷里静岡県清水は特異気象的に温暖なので、寒いと言って家の中でゴロゴロしていると、「子どもは風の子、おもてで遊んでこい」と祖母によく言われ、冬空の下へと追い立てられて風になった。 寒暖が昼夜安定せず、「今日は気温が上がって上着のい…