den6blog’s diary

僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか

◉道中歌と江尻

2018年2月23日
僕の寄り道――◉道中歌と江尻

東京は朝から小雪がちらつく肌寒い一日となった。終日外出せずに仕事をし、夕方になって晩酌の芋焼酎を買いに出た帰り、郵便受けをのぞいたら、木村荘八『東京風俗帖』ちくま学芸文庫が届いていた。

ぱらぱらとめくって拾い読みしたら生まれ故郷「江尻」の文字が目に入る。砂利道でふと目を引く小石を見つけるように、活字の海で目をとらえる地名の存在は不思議だ。

何が書いてあるのかと読んでみたら、「♪お江戸日本橋七つ立ち…」で始まる道中歌は、日本橋を出立した後ちゃんと京都に着くまでが18節に仕切られて存在し、しかも往路の上りだけでなく復路の下りもあるのだという。知らなかった。

有名な道中歌の出だしは、
「♪お江戸日本橋七つ立ち、初上り、ああこりゃこりゃ。行列揃へて、あれわいさのさ、こちゃ、高輪、夜明けの、提灯消す。こちゃえ、こちゃえ。」

郷里江尻を通過する上りは、
「♪江尻つかれて気は府中、はま鞠子、ああこりゃこりゃ。どらをうつのかどうらんこ、こちゃ、岡部で笑はゞ笑はんせ、こちゃえ、こちゃえ。」
下りは、
「♪江尻、興津の浜辺より、はるばると、ああこりゃこりゃ。三保の松原右に見て、こちゃ、浮世の塵を薩多坂、こちゃえ、こちゃえ。」
なのだという。

どうも江尻界隈のは難しい。清水でもとなりの由比、興津の地名は使いやすいのか、わかりやすくて内容もふるっている。
上りは、
「♪愚痴を由井だす薩多坂、ああこりゃこりゃ。馬鹿らしや。絡んだ口説き興津川。こちゃ、欺して寝かして恋の坂。こちゃえ、こちゃえ。」
下りは、
「♪わが元由比の乱れ髪、ああこりゃこりゃ。はらはらと、蒲原かけて降る雪は、こちゃ、富士の裾野の吉原へ。こちゃえ、こちゃえ。」
となっている。

日暮れどきに O さんから仕事の日程調整の電話が入る。聞きたかったことがひとつあるのを思い出したけれど、後日会う日の楽しみにした。

夕食どきは呑みながら平昌オリンピック、スピードスケートのショートトラックを1時間ほど見た。

狭苦しいコースでの追い越しでインをつく駆け引きは見ているだけで疲れる。コーナーで大外を回って一気にトップに立ち、そのまま逃げ切る圧倒的な勝ち方をした韓国人女性選手がいて惚れ惚れした。あそこまで強いのは気持ちいい。強いので見ていて疲れない。スプリントの強さを見せつけられた気がしたが、解説者は遠心力に負けない強さと言っていた。なーる。

1時間で切り上げて録画してある NHK クラシック倶楽部。久しぶりにセザール=フランク(1822 - 1890)の作品を聴いた。やはりフランクはオルガン奏者だなぁと思う。背景として奏でられるゆったりとした曲想があり、その上にちょこまかと乗せられて来る別の曲想が陰陽で相反しているのが面白い。フランクの曲は甘じょっぱくて、みたらし団子の味わいがある。

ピアノ五重奏曲 ヘ短調」を原田幸一郎神尾真由子のバイオリン、磯村和英のビオラ、毛利伯郎のチェロ、ミロスラフ・クルティシェフのピアノで聴いた。この曲の初演ではサン=サーンスがバイオリンを弾いたという。磯村和英は東京カルテットの人。(2018/02/22)